松崎 貴久という男
皆さんには、こんな友達っているのかな?
1.二人でいてもさほど喋らず、熟練の夫婦にも似た(笑)無言の空気感を持つ友
2.性格が全然合っていないのに、何故か一緒にいても苦では無く、会う機会も多い。
3.お互いに、とびっきりの情がある。
以上、こんな友達(^^)
普通なかなかおらんわな。
でも、実は私にはひとりいる。
はじめて知り合ったのは16の時だったと思うので、かれこれ21年もの付き合いになってしまった。
彼の名は
松崎 貴久
通称、「競輪選手のマツ」である。
彼は、引っ越しをすること4回目。
その都度、私を頼りにミヤモト家具に来店してきては、家具を一式購入。
さすがに今回は、新築マンションを購入したから、家具を運ぶのも最後であろうと思っている。
今日は、締めのラグと照明を納品しに行ってきた。
そういえば、最初にマツが家具を購入しに来たのは、私が27の頃であったと思うので、
お〜〜〜〜!マツ、自分ミヤモト家具10年目やないか(~_~;)
何だかとても感慨深い。
思えば私が家具屋をやりはじめた頃、お金がなくて友達と遊びに行ったり、飲みに行くのをやめた時期が何年か続いたことがあった。
方や、当時からトップアスリートとして、競輪の世界で活躍していた松は、同学年のサラリーマンと比較すると、何倍、何十倍もの稼ぎがあり、私との生活レベルの差も歴然だった。
遊びに行かない理由をずっと隠していたのだが、松はそれを察したのか、二人でご飯を食べに行くと、何があろうと私にお金を払わせず、決まっていつも言うセリフが、
「トヨアキには昔、お世話になったから」
と、いつもそう言っていた。
10年前、少しづつ仕事の成果が出始め、それなりに会社が順調だった頃。
その時初めて松が、最初の引っ越し先の家具を買いに来た。
「トヨアキ、安くしなくていいから」
後にも先にも、お客様にそう言われたことは無い。
当たり前だ。そんな事を言うお客様がいるとしたなら、常識外れも甚だしい。
それから10年、ミヤモト家具も毎年、増収増益を続け沢山のスタッフにも恵まれた。
今も、私の仕事のモチベーションのひとつになっているのが、当時な〜んの魅力もなかった発展途上のミヤモト家具にも、私を応援し、支えてくれた沢山のお客様がいたということだ。
「必ずいつか、自分を支えてくれたお客様に、恩返しをするんだ!」
それが私のモチベーションだった。
松は紛れもなく、そんなお客様の一人である。
そういえば、競輪選手は若いころに厳しい生活環境の中、寮の中で束縛され、本来一番楽しい歳の月日を、訓練にあてられるそうだ。
だから昔からの友達を、大切にするのだと聞いたことがある。
きょうの納品後、
「松、照れくさいけど、いつもありがとう」
そう言うと、
「こっちこそ。トヨアキには昔、お世話になったから。あまりいい買い物が出来なくてごめん。」
当然私には、今も昔も、お世話をした記憶がない。
もし仮にしていたとしたならば、とっくの昔にそんな恩返しは終わっている。
松崎 貴久 37歳
昔、私の師匠が言っていた。
「宮本!恩は一生恩なんだ。返したら終わりなんてもんじゃ無い」
ただ、松の恩返しはもういらない。
これからは、私が恩を返していこう。
松、いつもありがとう。
仮に、自分の敵を増やそうと、守ってやりたい友もいる。
彼もまた、私の、大切な“ヒト”である(*^_^*)
宮本 豊彰
ミヤモト家具
INTERIOR SHOP MIYAMOTO