その名は安藤さん
今から7・8年程前、富山に転勤してきたばかりのご夫婦が、新居で使う家具を探しにミヤモト家具にやって来た。
最初に購入されたのは本棚。
当時、まだオリジナル製品も少なく、スタッフも少なかった為、アルバイトをしていた島ちゃんと二人で、セレクトした本棚を配送した。
私の、まだ20代の頃だ。
2度目の御来店の時に、
「宮本さん、妻と話して、家具はここで揃える事を決めました!」
と、笑顔で話す御主人。
それから幾度となくご来店されては少しづつ、家具を揃えていかれるうちに、気さくに話が出来るようになった私。
見るからに人柄の良さがにじみ出る、優しそうな御主人と、笑顔が素敵な奥様。
その名は安藤さん。
それから月日は流れ、久しぶりにご来店いただいた時、わざわざこんな事をご報告にいらっしゃた。
「宮本さん、東京に転勤することになりました。東京だったら、どこで家具を買えばいいんですか?新しい新居では、カーテンと食器棚がいるんです。」
と言うので、東京で仲良くしているインテリアショップを幾つか紹介した。
「私からの紹介だと、お店の人に言って下さい」
安藤さんは何度も深々と頭を下げて、
「宮本さん、本当に最後まで、お世話になりました」
そう言って、笑顔でお別れ。お客様と別れる事が、こんなに寂しい事なんだなと、初めての経験だっただけに、とても胸が熱くなったのを思い出す。
数日後、私あてに、一本の電話が。安藤さんだ。
「宮本さんにご紹介いただいたお店。とっても素敵でした。けど、やっぱり宮本さんの所で家具を買いたいんです。東京まで送ってもらえませんか?」
あまりの嬉しさに、お断りする理由も無く、
「安藤さん、私がお届け致します!」
と、迷わず返事をし、ハイエースをかっ飛ばして、江戸川区まで配送した。
何年前の頃だったろうか。うちのテッペイが、今のトップページの写真を撮った頃ぐらいだったと思う。
そして昨年、安藤さんが転勤で富山に戻って来られた!
今でも頻繁にお店に来られては、買い物をしていただいている。
ちょうど3日前、メンテナンス用のオイルを買いにこられた安藤さんに、
「東京に行った頃が懐かしいです」
と話をすると、
「そんな事がありましたねぇ〜。あの時はご迷惑をお掛けしました!」
と、7年前と全く変わらぬ笑顔。
今では、東京の配達は珍しくない。
来月にはすでに2件の御予約が入っているが、本当に有り難い事である事を、僕らは決して忘れてはいけない。
私を、そんな気持ちにさせてくれた。
その名は安藤さん。
これからも、どうぞ長いお付き合いの程、宜しくお願いもうしあげます
宮本 豊彰
ミヤモト家具